School days 4
ミニゲームは、1年対2・3年のレギュラーメンバーの中から、4人対4人(キーパーを入れると5人)で、
行われる事になった。
一年チームは、翼・井沢・高杉・滝の4人。
(見てろよ・・・、ドギモ抜いてやるぜ!!)
「ピーーーー!!!」
キックオフの笛が鳴り響いた。
キックオフで翼からボールをもらった井沢は、いきなりドリブルで中央突破を開始した。
「なにぃ!!」
不意を突かれたレギュラーチームは、簡単に井沢の突破を許してしまう。
「滝!!!!」
井沢の動きに合わせてサイドを上がっていた滝に、すかざずパスを送る。
「ナイスパス!!!」
滝は得意のライン際のドリブルで、そのまま駆け上がりセンタリングを送る。
「決める!!!」
そして、しっかりとゴール前に走りこんでいた翼は、得意のオーバーヘッドでおもいっきりシュートを放った。
「ゴ〜〜〜〜ル!!!!!」
あっという間に、1年チームが1点を先制した。
「やったぁ!!」
「さすが翼だ!!」
抱き合って喜ぶ4人。
脇で見ていた他の1年達も飛び上がって喜ぶ。
「このヤロウ・・・!ナメた真似しやがって!」
今度は、レギュラーチームのキックオフ。
先程、翼に殴り掛かりそうになった先輩が、負けじとドリブル突破を開始する。
「ふざけんじゃねぇぞ!!!クソガキがっ!!!」
「ここは、抜かせない!!」
すかさず高杉が、ドリブルを止めに行く。
しかし・・・・、
「っぐわ・・・・!!!」
先輩が強引なドリブルで高杉のディフェンス突破。
なんと高杉の方が弾き飛ばされてしまったのだ。
「ピ〜〜〜〜!!!」
ファールの笛が鳴った。
「高杉!!!!」
「大丈夫か!?」
フィールドプレイヤーの3人は、慌てて高杉の所に駆け寄った。
「ああ・・・。」
高杉はすぐに立ち上がったが、相手の肘が脇腹に入ったようで、かなり痛そうだ。
(高杉が吹き飛ばされるなんて・・・。)
井沢と滝はお互いに顔を見合わせた。
修哲小時代、体の大きな高杉が当たり負けをした所など、ほとんど見たことが無かったからだ。
「さぁ、ここからだ!みんな!!」
翼の大きな声で我に返り、慌ててポジションに戻った。
リスタートでボールを貰った井沢は、再びドリブルを開始し、サイドの滝にパスを送ろうとする。
「!!」
が、横から激しいスライディングタックルを喰らい、ボールを奪われてしまう。
「っく・・・!今の反則だぞ・・・。」
激しいタックルで吹き飛ばされ、地面に叩きつけられた井沢だったが、審判はファールを取ってくれなかった。
「あっ・・・。」
ボールを奪われ、あわてて高杉が相手を止めに行くがあっさり抜かれてしまい、同点ゴールを許してしまった。
「くそっ・・・!」
高杉は先程の接触の影響で、明らかに動きが悪い。
そして・・・
(ちくしょう・・・! オレもさっきのタックルで・・・)
井沢も、左足首を痛めてしまった。
(くそっ!ここで終わってたまるか!!)
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「ピーーーーー!!!」
終了の笛が鳴り響き、試合が終了した。
結果は、5−3で、レギュラーチームの勝利で終わった。
体を痛めた後も、高杉と井沢は懸命にプレーしたが、まったく得点に絡む事ができず、
無念の途中交代となってしまった。
途中交代で入った石崎と来生だったが、レギュラーチームの当たりの強さに
すっかり怖気づいてしまったのか、流れを変えることは出来ず、レギュラーチームにやられ放題。
GKの森崎は、中学生の強烈なシュートにまったく反応することが出来ず、5点も許してしまった。
・・・結局、翼が孤軍奮闘し、一人でドリブル突破・3得点のハットトリックで、試合終了となった。
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「は〜、結局、オレ達はまだまだってことだな。」
ボロボロの体を引きずりながら、夕日が沈む河辺を歩く一年達。
「でも、翼は流石だったな!
ハットトリック決めた時の、あの生意気な先輩の絶望に満ちた顔、見たかよ!!
オレは、あの顔見れただけでも、ミニゲームやった価値があったと思うぜ?」
「まぁ、そうだな。これで翼はレギュラー確定だろうしな。
一年の希望の星として、翼にはがんばってもらおうぜ!」
そう言って、石崎と来生はニシシと笑った。
(それに引き替え、ゲーム開始早々怪我して・・・、何やってるんだ!?オレ)
井沢は、痛む左足を恨めしそうに睨み、溜息をついた。
「そういえば、井沢と高杉は大丈夫!?」
森崎が心配そうに、自分たちの顔を見る。
「ああ・・・、そんなに重症じゃないよ。」
高杉と2人、力なく笑って見せた。
「しっかし、あのラフプレーは酷いよな!」
「ほんと、スポーツマンシップもへったくれもねぇよな、アイツら!」
他の仲間がフォローを入れてくれるが、逆にそれが井沢にとってはキツかった。
「でも、これからはああいったラフプレーにも、負けない身体作りが必要になってくる、とオレは思ったよ。」
「翼・・・。」
「やっぱり、一年はまず体力作り!・・・これって、間違ってなかったんだろうね・・・。」
翼のもっともな意見に、みんな黙ってしまった。
(はぁ〜、まだまだ!まだまだだな、オレは・・・!)
青からオレンジに変わってゆく空に、井沢は嘆くしかなかった。
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かんばれ!井沢少年!
つづく